SPring-8の高輝度な放射光を活用した
構造生物学研究環境の開発と整備を行っています

遠隔実験

概要

SPring-8では、自動サンプルチェンジャー等の導入による自動化が進み、遠隔地の研究者がインターネット経由でX線回折実験を行うシステムが2011B期より導入され、お使いいただいています。遠隔地からの移動により実験以外に多くの時間を取られることなく実験が可能となる点で好評をいただいていましたが、近年の回折実験の高度化、機器の高性能化に伴い、遠隔実験に使用するクライアントソフトウェアが対応できない状況になっておりました。
そこで、我々は、ビームラインと同等の測定環境を提供することが可能となるリモートデスクトップシステムを使用した遠隔操作システムの開発を進めてまいり、2020年10月より運用を開始しました。利用に際してセキュリティの関係で使用できるソフトウェアの制限がありますが、従来のビームラインで行える回折測定と同様の操作で遠隔測定を行うことが可能になっております。
皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

実施可能ビームライン共用ビームライン: BL41XU, BL45XU

遠隔操作システムVer.2

本システムでは、リモートデスクトップソフトウェアであるNoMachineを使用し、ビームラインで使用する測定環境(※セキュリティのため使用できるソフトウェアに制限があります)をインターネットを通じ提供し、回折実験をビームラインと同様に行うことができます。


ユーザー認証によるセキュアなシステム

信頼性の高いシステムとするために、SPring-8へのネットワーク接続にはVPNベースのユーザー認証システムを、ビームラインへの接続にはビームタイム中に限り接続が許可されるユーザーアカウントシステムを導入しています。ビームタイムを配分されたユーザーには認証キーとユーザー名、パスワードをお送りします。

試料とデータのやり取り

情報漏えいを防ぐため、測定データは管理されたアカウント別に保存されます。また、試料はあらかじめクライオピンで凍結し、Uni-puckに格納されたものをビームライン担当者と宅配便でやりとりしていただきます。 測定したデータはユーザーに送付していただいた記憶媒体に保存し、郵送で返却いたします。

利用条件

  • 実験責任者もしくは共同実験者のいずれかがSPring-8構造生物ビームラインの操作経験を有すること。
  • 遠隔で操作する者は、播磨地区放射線障害予防規程で定める放射線業務従事者(あるいは取扱業務従事者)であること。(※1)
  • 遠隔での操作に当たっては、リモート測定に関する安全講習を受講すること。(※2)
  • リモート接続・認証、システム操作、試料輸送等の詳細については、遠隔実験に関する手順書や担当者の指示に従って、利用・実施すること。
  1. 理研播磨事業所の安全管理室に、放射光利用ユーザーとして手続き願います。作業内容は”放射光実験”を”リモート実験(立入なし)”が選べます。なお、後者を選んだ場合に、後日来所して放射光実験される際は、変更手続きが必要です。
  2. マニュアル等の資料をお送りいたします。内容を理解していただいた上で教育記録にサインをいただきご返送ください。年度ごとに1回実施いたします。

利用方法

2020年10月より利用を開始しました。

  1. ご利用にあたり、課題申請を行ってください。課題申請についてはこちらをご覧ください。
  2. 放射線業務従事者(あるいは取扱業務従事者)の手続きを行ってください。申請については、こちらをご覧ください。
  3. ビームタイム希望調査の際に遠隔測定希望をお伝えください。また後程希望される場合も、できるだけ早い段階でご連絡ください。
  4. 遠隔測定システムを理解していただくための講習を受講してください。1年に1回受講していただく必要があります。ご希望された方に、講習資料をお送りします。
  5. 利用申込書における注意事項
    • 操作をされる方全員の実験者登録をお願いします。
    • バッチの受取/返却はビームタイムを入力を入力してください。
    • 「交流施設を利用しない」をチェックしてください。
    • 備考欄に「遠隔実験のため来所不要」と記載しくてださい。
  6. 実際の接続等については、担当者よりお送りする資料を参照し、行ってください。
    なお、初めて接続を行う方には、実際の測定前に接続テストを行っていただくことができます。

お問い合わせ先

タンパク質結晶回折実験用の遠隔操作システムに関しては、下記お問い合わせ先までお気軽にお尋ねください。

担当者e-mail (後ろに@spring8.or.jp)
水野伸宏nmizuno