SPring-8の高輝度な放射光を活用した
構造生物学研究環境の開発と整備を行っています

Cryocool クライオ装置のガス切り替え方法

注意事項

許可なくHe冷却を使用しないでください。
2時間に1回程度、全ボンベの残量確認をお願いします。
Heボンベは3本単位で使用(交換)し、15L/minで使用したとき、およそ15時間でボンベ3本を消費します。
HeからN2へ戻す際には、Heを流しながら温度を上げる作業に1時間程度かかりますので、最後のHeボンベの残圧が3MPaになる前にN2への切り替え作業を開始してください。

  • 78K以下のままHeが途切れると、装置が深刻なダメージを負います。
  • 圧力ゲージの2MPa以下は不正確です。

N2からHeへ変更するとき

  1. ガス切り替えボックス(温度コントローラーの上のガス流量を表示している箱)のGHeバルブをPURGEに回して、2秒程度パージする。
  2. N2ガスからHeガスへ変更する。GHeバルブを先行させながら、GHeバルブをCloseからGHeへ、GN2バルブをGN2からCloseへ回す。ガスは混じってもいいのでとにかくガスを途切れさせないようにする。
  3. ALL OFFボタン(赤ボタン)を押して、全ヒーターを切る。A(ノズル)、B(2nd stage)、C(1st stage)の温度が下がり始める。
  4. 20分程度で以下に示した温度程度で安定する。
    ABC
    通常モード(実験ハッチ2)17 [K]7 [K]61[K]
    高エネルギーモード(実験ハッチ1)61 [K]17 [K]7 [K]
  5. ガスの流量を10L/min(N2設定値)から15L/min (He設定値)へ変更する。
    1. 切り替えボックスの中央パネル(紫)のENTボタンを押し、設定流量表示(S:の数字)を点滅させる。
      点滅させないで横矢印ボタンを押すと、異なるモードになってしまい、いきなり温度が急上昇してしまうので、要注意。
    2. 15L/minに設定(左右矢印で桁、上下で数を変更、ENTで決定)
  6. Aのヒーターを入れる。Aボタン → Heat range → 上下矢印でHigh へ変更し、ENTERを押す(赤ランプ2が点灯)。Aは100Kへ設定済みのはずなので100Kに上昇する。

He使用時のサンプルマウント・交換(手のせ、SPACEの場合。フラッシュクールを除く)

  1. まず交換前にノズル温度(A)を100Kに設定し、heat rangeをhighへ設定する。

    温度設定:Aボタン → SET PONT → 設定温度を数字キーで入力(今回は100) → ENTER
    Heat range設定:Aボタン → Heat range → 上下矢印でHigh へ → ENTER

  2. Aの現在温度が上昇し、100Kであることを確認
  3. サンプルをマウント(交換)する。
  4. 希望の温度を設定する。温度設定後、Aのheat rangeを設定する。

    設定温度: ~30K → heat range:Med
            30K~100K → High
    ※安定な最低温度は14Kあたり

HeからN2へ変更するとき

  1. A (sp2)、B (sp3)、C (sp1) の設定温度を100Kに設定する。
  2. Heガスを流したままヒーターを入れ、Heガス気流を設定値まで上昇させる。

    (ア) A → Heat range → 上下矢印でHigh へ変更し、ENTERを押す(赤ランプ2)
    (イ) B → Heat range → 上下矢印でOn へ変更し、ENTERを押す(赤ランプ3)
    (ウ) C → Heat range → 上下矢印でHigh へ変更し、ENTERを押す(赤ランプ1)

  3. 2.に続いて、温度上昇中にガスの流量を15L/minから10L/minへ変更する。
  4. 装置内温度の上昇を待ち(45分~1時間かかる)、Bの現在温度の揺れの下限が80Kを上回ったら、Bの設定温度を83Kに、Cの設定温度を95Kに設定する。(1st、 2nd stageが78Kを下回っている状態でN2に戻すと装置内で凍結するので、Heガス残量に余裕をもって温度を戻すこと)
  5. HeガスからN2ガスへ変更する。GN2バルブを先行させながら、GN2バルブをGN2へ、GHeバルブをCloseへ回す。ガスは混じってもいいので、とにかくガスを途切れさせないようにする。    
  6. A・B・Cのそれぞれの現在温度が設定温度あたりで安定していることを確認する。

Heボンベの交換方法

  • ボンベ交換は3本単位で行います。
  • 先に使用しているボンベの圧力が0に下がりきっていなくても、新しい側のボンベの圧力が14MPa(あるいは利用開始時の圧力)を下回っていれば次のボンベを消費し始めているので、先に使用している方はすでに空です。
  • 圧力ゲージの2MPa以下は信用できません。

  1. 真ん中の圧力ゲージの真下にある圧力調整器の黒レバー(半自動切り替え器)を空になったボンベ側の反対側に向ける。
    (半自動切り替え器は優先的に利用する側を指示するものです)
  2. 空ボンベ(3本)のバルブ(灰色)を閉じる。空ボンベの胴体部分についている「充」のラベルを切り外し、「空」ラベルのみにする。
  3. 空になったボンベ側の配管のネック弁バルブ(各ボンベに対して1箇所ずつ)を閉じる。
  4. 近くに置いてある黒いレンチを用い、ボンベを配管から外す。
  5. 空ボンベに灰色のキャップをかぶせ、締める。
  6. 新しいボンベに交換し、配管と接続する。チェーンを忘れずにかける。
  7. 新しいボンベのバルブ(灰)を開く。リークしてないか確認(音など)。
  8. 新しいボンベをつないだ配管のブロー弁バルブを開閉し、交換した各ボンベと配管の間の空気をパージする。
    (パージの際のバルブの開き具合はほんの少しでよい。シュー音がしたらそれ以上開くのをやめて2秒程度流す。)
  9. 交換した各ボンベ配管のネック弁バルブをそれぞれ開く。
  10. 接続した新しいボンベの圧力が14~15MPa程度あることを確認する。