SPring-8の高輝度な放射光を活用した
構造生物学研究環境の開発と整備を行っています

サンプルシートの入力方法

サンプルシートにExposure timeの入力カラムがありませんが露光時間はどこで設定しますか?

BL45XUの場合、標準の露光時間は0.02sec.となります。データセットのトータルの吸収線量が10MGy(Phaseingの場合は5MGy)になるように、選択した波長とフレーム数に合わせてアッテネータの厚みが自動的に設定されます。

サンプルシートにExposure timeの入力カラムがありませんが露光時間はどこで設定しますか?

ラスタースキャン実施時に、Scoreが10個未満と判定された場合は、データセット測定は行わず、次の試料に進みます。Scoreは回折点と認識されたスポットの数になります。

回折点がかなり弱いと想定される微結晶の場合は、high_dose_scanやultra_high_dose_scanを選択すべきでしょうか?

Objectiveですが、LCPで結晶化した膜タンパク質などでなければnormalで良いと思われます。反射が非常に弱いと想定される場合はhigh_dose_scanを設定されることをお勧めいたします。どちらもスキャンの時間は変わりませんが、Ultra_high_doseの場合は、検出器の周波数が下がるため、スキャンに要する時間は長くなります。

"Hor. scan length [µm]" とはループのカタログサイズのことですか?

“Hor. scan length [µm]” の設定はこちらの8ページにありますのでご参照ください。
“Hor. scan length [µm]“はループのカタログサイズよりも大きくなることにご注意ください。

メッシュタイプのピンでも問題ないですか?

自動測定においてもメッシュタイプのピンは対応しております。

ファインスライスのメリットは何ですか?どれぐらいの振動角にすればいいですか?

フォトンカウンティング検出器(EIGER/PILATUS)では、読み出しノイズフリーなのでファインファイスライスをするのが良いというのが一般的な見解です。スポットの分離に問題が出る場合(大きな格子長を含む。mosaic幅が広い場合など)に備えて自動測定では標準で0.1deg振動を推奨しています。
参考:PILATUSを利用した Fine phi slicing の積分時の効果についての論文

サンプルピンをゴニオにマウントした直後にサンプルピンが伸びると聞いたのですが本当ですか?

サンプルピンはSPACEのデュワー内から取り出されゴニオメーターにマウントされる過程で、クライオストリームの外にある部分は液体窒素温度から常温になります。熱膨張の為20~40um程度伸長するようです。軸部分がカッパータイプのピンで伸長量が大きい傾向にあります。またSPINEタイプのピンはベース部分の体積が小さいため伸長量は小さい傾向にあります。特に自動測定時はループのセンタリング時間が手動でするよりも短時間になるため、伸長の影響が大きくなります。自動測定時にはSPINEタイプのピンを利用されることを推奨します。

複数の試料(サンプルピン)に対して、異なるサンプルネームを設定しても、測定後に必要に応じて各結晶のデータマージをしてくれますか?

現状では、測定後に異なるサンプルネーム間の試料について クラスタリング/データマージ をすることには対応しておりません。必要がある場合は、必ず測定前にサンプルネームを一致させておいてください。

複数の試料(サンプルピン)に対して、結晶間データマージをする場合、それぞれの結晶の結晶化条件は全く同じ方が良いのでしょうか?異なる条件の結晶をマージしても意味はあるのでしょうか?

結晶化条件が異なっていても同型な結晶であった場合はマージすることでCompletenessの向上に有利と思われますし、仮に結晶化条件が異なることにより格子長などが変化するような場合でも、階層的クラスタリングを行う過程でより分けられる可能性があると思われます。
ただし当然ですが別々の化合物をソーキングしている等、個別の結果を期待する条件間でのデータマージは避けるべきかと思われます。

事前に測定時間を見積もることはできますか?

1サンプルピンあたりの測定時間の実績がこちらの17ページにありますのでご参照ください。
サンプルピンの種類、LN2滴下(霜の除去)オプションの有無により時間が加算されます。なお測定の途中で、波長もしくはビームサイズが切り替わる場合ビーム位置の自動アライメントシーケンスが入るため測定が一時中断されます。中断される時間は下記のとおりです。
・波長切替時: 約15min.(波長変更による分光結晶の熱負荷の変化が安定するまでの時間を見込んでいます)
・ビームサイズ切替時: 約5min.
そのためできるだけ同じ波長、ビームサイズの測定条件を続けたほうが時間のロスが低減します。 ただ測定の優先順位があると思いますので、その点を踏まえてサンプルシートをソートしてください。